一人で運送業を起業しても労災保険に加入できるのかを検証しました。

労災保険について

災害、病気、怪我の積み木

労災保険(労働者災害補償保険)は業務中の事故で起こったケガや死亡を補償する公的保険で、従業員を雇う場合は加入することが必須。
労災保険だけなら経営者や1人親方の個人事業主でも加入できます。
1人で運送業を起業する場合は任意加入ですが、保険料が安いので加入することを検討してみてください。

 

個人宅への配送は軽い段ボールの荷物が多いですが、一部で重量のある荷物によって足の指を骨折・ギックリ腰(適用要件あり)のリスクがあるので、加入しておくと安心です。

 

経営者への補償は特別加入制度

労災は労働保険の一種で、労働保険は労災保険と雇用保険の2つを合わせたものです。
従業員を雇う場合は労働保険への加入が強制で、労災保険・雇用保険のどちらか一方だけ加入することはできません。

 

労働保険は名称の通り労働者を守るための保険になり、基本概念は経営者は加入できないルールです。
ただし、現場で働く経営者の場合は業務中の事故を起こすリスクがあるため、労災保険のみ「特別加入制度」として経営者が単体加入できる仕組みになっています。

 

両手の親指を上げたサラリーマン

労災保険の特別加入制度は一定の条件がありますが、個人事業主は「一人親方等の特別加入」、法人は「中小事業主等の特別加入(運送業は従業員300人以下)」で簡単に認められます。
脱サラで運送業を起業する事業規模であれば、ほぼ確実に加入できると思って大丈夫ですよ。
なお、経営者向けの特別加入制度はあくまでも任意加入するもので、不要だと感じるのであれば無理に加入する必要はありません。

 

>>運送業の独立起業は6人必要?人員の確保

 

保険料と補償内容

労災保険を加入するか判断する上で気になるのが保険料と補償内容ですよね。
保険料は年度毎に見直しが行われていて、給付基礎日額を選択する加入プランで保険料が異なります。

 

参考までに個人事業主が一人親方等の特別加入で、給付基礎日額を最低基準の3,500円にした場合の保険料は、年間2.5万円弱・月額2,000円ほどが目安です。
また、個人事業主の場合は組合に加入する必要があり、個人事業主の労災保険向け組合は、月額500円ほどの組合費を取られるケースが多いです。

 

つまり最低でも月々2,500円前後の費用がかかり、給付基礎日額の設定額(最大25,000円)によっては月々1万円以上の保険料になります。
通院や入院の最低限の補償を受けたいのであれば、民間の保険会社や共済を利用した方が安く抑えられますよ。

 

労災保険のメリットはケガの治療費だけではなく休業補償や遺族年金までしっかり補償されることです。
労災保険の主な補償内容をご覧ください。

 

  • 療養補償給付(治療費)
  • 休業補償
  • 傷病補償年金
  • 障害補償年金
  • 障害補償一時金
  • 遺族補償年金
  • 埋葬料
  • 介護補償給付

 

補償上限額は給付基礎日額の設定によって変動します。
休業補償もされる点が大きなメリットで、補償内容を考慮すれば民間の保険会社や共済を利用するよりもコストパフォーマンスが高いです。
その他の保険加入状況や、ケガをして働けなくなった時の生活費・家族への影響を考慮して加入するか判断しましょう。

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