運送業の確定申告
運送業を起業した場合は、確定申告をする必要があります。
運送業に限らず個人事業主・会社経営者として事業を営む場合は確定申告が必要で、申告方法は法人の決算申告・青色申告・白色申告の3種類があります。
これから起業する方に向けて確定申告の基礎知識と、運送業ならではの節税対策(経費で認められるもの)を紹介いたします。
個人事業主なら青色申告
個人事業主の確定申告は青色申告と白色申告の2種類があります。
それぞれの特徴は以下の通りです。
青色申告 | 白色申告 | |
---|---|---|
利用できる人 | 開業届を提出している人 | 誰でも可能 |
申告方法 | 複式簿記 | 単式簿記 |
控除額 | 65万円※ | 10万円 |
※(2021年2~3月の確定申告よりe-TAX以外は55万円)
ご覧の通り、控除額に違いがあるため青色申告の方が有利です。
開業届は税務署の窓口で提出するのみで費用はかかりません。
複式簿記は会計ソフトを使えば税理士を使わなくても簡単に作れます。(年間1万円程度の有料ソフトがおすすめ)
手間と会計ソフト費用を考慮すると、副業で年収50万円以下なら白色申告でも問題ありません。
法人の確定申告(決算)
個人事業主は毎年2月中旬から3月中旬に確定申告する時期が決まっていますが、法人は設立する際に決めた決算月に決算書を作って確定申告します。
法人の確定申告は複雑で税務調査が入るリスクが高いため、小規模の会社でも税理士へ依頼している所が多いです。
事業規模が小さい会社なら会計ソフトを使って自分で帳簿をつけ、決算の時だけスポットで税理士に依頼すれば税理士費用を年間3~5万円程度に抑えられます。
計画的に車を買う
運送業の経費対策でもっとも重要なのが車の購入費用です。
車は基本的に経費ではなく減価償却資産として複数年に分けて経費算入するルールがあり、減価償却期間(耐用年数)は車の種類と年式によって変わります。
新車の場合は減価償却期間が3~6年で運送事業用は原則3年です。
1年落ちの中古は2年に分けて減価償却を行い、2年落ち以降は基本的に1年(買った年)の申告で全額を減価償却します。
運送業を始める場合、1年目は売上の予測がつかないため、中古で車を買うと節税面の効果が少なくなってしまいます。
軽バン配送であれば、まずは業務委託+車両レンタル有りの所を利用して、ある程度安定してから購入しましょう。
単年だけ売上が跳ね上がった時は新車よりも中古を買った方が有利になるケースがあります。
運送業の主な経費
運送業の確定申告で経費にできる費用の一例をまとめました。
- ガソリン代、高速代
- 月極駐車場代
- 車の整備費用
- 車の税金、保険
- 代車、軍手などの備品
- 携帯電話費用
- 事務処理に必要な費用(パソコン、プリンターのインク代など)
- 家(オフィス)の光熱費等
- 飲食費
いずれも、事業のために使うものに限定され、家の光熱費や携帯電話料金は事業割合に応じた金額を経費算入します。
家賃については賃貸なら事業割合に応じて経費にすることが可能。持ち家は建物の耐用年数に応じて減価償却資産として計上する方法が一般的です。
私の経験上ですが、運送業を起業すれば節税方法に関する情報・テクニックを同業者からいくらでも聞くことができます。
年間で相応の利益が出そうになってから、同業の方や税理士に相談して節税対策を考え始めても遅くありません。